東京高等裁判所 平成8年(行ケ)23号 判決 1996年10月31日
イギリス国 ロンドン市 エスダブリュー 1
セントジェームセズ デュークストリート 30
原告
アルフレッド ダンヒル リミテッド
同代表者
メラニー ブレイクマン
同訴訟代理人弁理士
松原伸之
同
村木清司
同
橋本千賀子
同
浜田廣士
同
松嶋さやか
大阪府大阪市中央区博労町3丁目1番8-201号
被告
株式会社ダブルニット
同代表者代表取締役
若原孝徳
同訴訟代理人弁理士
鎌田文二
同
東尾正博
同
鳥居和久
主文
原告の請求を棄却する。
訴訟費用は原告の負担とする。
この判決に対する上告のための附加期間を90日と定める。
事実
第1 当事者の求めた裁判
1 原告
「特許庁が平成3年審判第756号事件について平成7年10月3日にした審決を取り消す。訴訟費用は被告の負担とする。」との判決
2 被告
主文1、2項と同旨の判決
第2 請求の原因
1 特許庁における手続の経緯
被告は、別紙表示のとおり欧文字「DANDYL」を横書きにした構成よりなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とする登録第2169028号商標(昭和61年9月19日出願、平成1年9月29日登録。以下「本件商標」という。)の商標権者である。
原告は、平成3年1月14日、被告を被請求人として、本件商標につき登録無効の審判を請求し、平成3年審判第756号事件として審理された結果、平成7年10月3日、「本件審判の請求は、成り立たない。」との審決があり、その謄本は同月18日原告に送達された。
2 審決の理由の要点
(1) 本件商標の構成、指定商品、登録の経緯は前項記載のとおりである。
(2) 請求人(原告)が本件商標の無効理由として引用する登録第756923号商標(以下「引用第1商標」という。)は、別紙に表示した構成よりなり、第17類「被服(運動用特殊被服を除く)布製身回品(他の類に属するものを除く)寝具類(寝台を除く)」を指定商品として、昭和40年3月18日に登録出願、同42年9月29日に登録され、その後、昭和53年9月1日及び同62年12月14日の2回にわたり、商標権存続期間の更新登録がなされているものである。同じく、登録第1394457号商標(以下「引用第2商標」という。)は、「ダンヒル」の片仮名文字を横書きしてなり、第17類「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品として、昭和50年11月18日に登録出願、同54年9月28日に登録され、その後、平成元年8月23日に商標権存続期間の更新登録がなされているものである
(3) 請求人は、本件商標と引用第1、第2商標とは称呼上類似するので、本件商標は商標法4条1項11号又は15号に該当し、本件商標の登録は、同法46条の規定により無効とされるべきである旨主張した。
(4) よって按ずるに、本件商標は、その構成別紙に表示したとおりの「DANDYL」の文字を表したものと容易に認識し得るものであるところ、該文字が特定の読みをもって親しまれた外国語を表したものとはいい難いものであるから、その構成文字に相応して「ダンディル」及び「ダンダイル」の称呼を生ずるものというのが相当である。
他方、引用第1商標は、その構成別紙に表示したとおりであって全体として「dunhill」の文字を表したものと容易に認識し得るものであり、また、引用第2商標は、「ダンヒル」の文字を横書きしてなるものであるから、引用の各商標は、それぞれの構成文字に相応して共に「ダンヒル」の称呼を生ずるものと認められる。
そこで、まず本件商標より生ずる「ダンダイル」の称呼と引用の各商標より生ずる「ダンヒル」の称呼を比較すると、この両称呼は構成音数の差、相違する各音の差等によりそれぞれ一連に称呼するも相紛れるおそれはないものである。
次に、「ダンディル」と「ダンヒル」の称呼を比較すると、両称呼は、第3音において「ディ」と「ヒ」の音の差異を有するところ、その異なる「ディ」と「ヒ」の音は、母音(i)を共通にするとはいえ、それぞれ調音位置(「歯茎音」と「硬口蓋音」)、調音方法(「破裂音」と「摩擦音」)を異にするばかりでなく、後者の清音である「ヒ」の音に比べ前者の「ディ」の音は濁音であることにより強い響きの音として発音かつ、聴取されるといえるものであるから、この音の差異が4音という短い音構成よりなる全体の称呼に与える影響は大きく、したがって、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても聴感が異なるものとなり、互いに相紛れるおそれはないものといわなければならない。
また、本件商標と引用の各商標は、それぞれの構成よりして外観、観念においても相紛れるおそれはないものである。
してみれば、本件商標と引用の各商標は、称呼、外観、観念のいずれにおいても類似しないものであるから、指定商品の類否について論及するまでもなく、本件商標は、商標法4条1項11号に違反して登録されたものではない。
さらに、請求人は、商品「ライター、かばん等の革製品、背広、シャツ等の衣料品」について「dunhill」、「ダンヒル」及び「DUNHILL」の商標を付したことにより、これら商標は極めて著名になると共に「ダンヒル」と称呼され、取引者、需要者間で広く認識されていたものであるから、被請求人が、本件商標をその指定商品について使用すれば、取引者、需要者をして請求人たるダンヒル社の商品であるか又は何らかの関連のある商品であるかのように商品の出所の混同を生じさせるおそれがある旨主張している。
しかしながら、本件商標と請求人の使用に係る「dunhill」、「ダンヒル」及び「DUNHILL」の商標とは、上述の判断と同様に明らかに区別し得る別異のものであるから、たとえ、「dunhill」、「ダンヒル」及び「DUNHILL」の商標が本件商標の登録出願当時請求人主張のように著名なものであるとしても、本件商標をその指定商品について使用した場合、請求人の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあったとはいい得ないものであるから、本件商標は、商標法4条1項15号に違反して登録されたものではない。
したがって、本件商標の登録は、商標法46条1項の規定により、これを無効とすることはできない。
3 審決を取り消すべき事由
審決の理由の要点のうち、(1)ないし(3)は認める。同(4)のうち、引用各商標は、それぞれの構成文字に相応して共に「ダンヒル」の称呼を生ずること、「ダンディル」と「ダンヒル」の称呼における第3音の「ディ」と「ヒ」の音が母音「i」を共通にすることは認めるが、その余はすべて争う。
審決は、本件商標の称呼についての認定を誤り、本件商標は引用各商標と非類似であると誤って判断し、かつ、本件商標をその指定商品について使用した場合、原告の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあるとはいえないと誤って判断したものであるから、違法として取り消されるべきである。
(1) 本件商標の称呼についての認定の誤り(取消事由1)
審決は、本件商標より、「ダンディル」及び「ダンダイル」の二つの称呼が生じると認定している。
しかし、本件商標の構成文字とその配列、及び英語の一般的発音法則からいって、本件商標からは「ダンディル」の称呼のみが生ずると考えるのが自然であり、常識的である。
したがって、本件商標より「ダンダイル」の称呼も生ずるとした審決の認定は誤りであり、この誤りは引用各商標との類否判断を誤らせるものでもあるから、この点からいっても審決は取消しを免れない。
(2) 非類似とした判断の誤り(取消事由2)
審決は、本件商標より生ずる「ダンディル」の称呼と引用各商標より生ずる「ダンヒル」の称呼を比較し、両称呼の第3音の「ディ」と「ヒ」の音について、母音(i)を共通にすることを認めながら、調音位置、調音方法などの違いを根拠に両者の差異が全体の称呼に与える影響が大きいとして、互いに相紛れるおそれはないと判断している。
しかし、本件商標と引用各商標との間で問題となっている相違音は、それぞれの語の中間に位置し、しかも称呼による識別上主要な要素を占める語頭の「ダン」は、極めて強く響く濁音「ダ」に撥音「ン」が続くため、この部分にアクセントが置かれて発音される。そして、その反動で、第3音の「ディ」と「ヒ」は、それぞれ母音が口を狭く平たくして短めに発音される「イ」であることからも、全体を一連に称呼する場合には語頭に吸収され、極めて小さくしか発音されず、その相違は聴取しがたいものである。
したがって、両称呼が時と所を異にして一連に称呼された場合には、全体の印象は極めて近似し、相紛らわしいものといわざるを得ない。
さらに、商標の称呼の類否判断は、調音位置及び調音方法の違い等、相違音の分析的考察のみに依拠すべきではなく、「商標審査基準」のいうように、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、たがいに相紛れるおそれがあるか否かによって判断されるべきである。
本件の場合のように、引用第1商標「dunhill」が世界的に著名な商標であり、本件商標の指定商品の需要者はもとより、極めて広範な一般大衆にその称呼「ダンヒル」が浸透している場合に、第3音の子音のみが異なる本件商標の称呼「ダンディル」は、著名商標の称呼である「ダンヒル」に引きつけられて認識される可能性が高いといわざるを得ない。
上記のとおり、本件商標の称呼「ダンディル」と引用各商標の称呼「ダンヒル」は類似するものであり、審決が、「ディ」と「ヒ」の相違音から、機械的に、両称呼を非類似と判断したのは明らかに違法である。
(3) 出所の混同のおそれがないとした判断の誤り(取消事由3)引用各商標は、本件商標の出願日当時すでに、広く取引者・需要者の間で著名となっており、特に最高級品としてのイメージを維持すべく広告がなされているので、引用各商標に化体された信用は多大なものがある。
しかして、たとえ本件商標が引用各商標に非類似であるとしても、引用各商標の多大な著名性に鑑みれば、フリーライド、および/またはダイリューションのおそれは大きく、これらを有効に防止して著名商標の確実な保護を図るには、具体的な混同の範囲を通常より広く認めることが必要となる。
よって、本件商標「DANDYL」と引用第1商標「dunhill」のように、称呼「ダンディル」と「ダンヒル」が同じ4音の構成からなり、唯一異なる第3音の「ディ」と「ヒ」は中間音であり、差異音の母音(i)が同一であるような場合には、明らかに需要者は馴染みの深い著名商標に引かれて、本件商標を引用各商標であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれが大きい。
したがって、本件商標を付した商品と引用各商標を付した商品が出所の混同を生じさせるおそれはないとした審決の判断は誤りである。
第3 請求の原因に対する認否及び反論
1 請求の原因1、2は認める。同3は争う。審決の認定、判断は正当であって、原告主張の誤りはない。
2 反論
(1) 取消事由1について
例えば、「dynamite」(ダイナマイト)、「dynamic」(ダイナミック)等、「DY」の綴りは「ダイ」と発音される用例が少なくないから、この用法に照らして、本件商標が「ダンダイル」と称呼される蓋然性は極めて高く、この点についての審決の認定に誤りはない。
(2) 取消事由2について
一般的、平均的な知識を有する者が通常払うであろう注意力を基準として両称呼の類否判断をすると、両称呼「ダンディル」と「ダンヒル」とは、第3音において「ディ」と「ヒ」の音の差異を有し、この相違音「ディ」と「ヒ」の音は、母音(i)を共通にするとはいえ、それぞれの調音位置、調音方法を異にするばかりでなく、後者の清音である「ヒ」の音に比べ前者の「ディ」の音は濁音であることにより強い響きの音として発音、かつ、聴取されるといえるものであるから、この音の差異が4音という短い音構成よりなる全体の称呼に与える影響は大きく、両称呼をそれぞれ一連に称呼しても聴感は全く異なるものとなる。
したがって、この中間音の相違は語頭の「ダン」の音に吸収されるものではなく、両称呼は互い相紛れるおそれなく聴別される非類似のものであるから、審決の判断に誤りはない。
(3) 取消事由3について
本件商標から引用各商標を想起させる理由はなく、また、本件商標と引用各商標とはその外観及び観念のみならず、称呼においても非類似のものであるから、仮に引用各商標が著名であるとしても、本件商標をその指定商品に使用しても商品の出所混同のおそれはない。したがって、この点についての審決の判断に誤りはない。
第4 証拠
本件記録中の書証目録記載のとおりである。
理由
1 請求の原因1及び2、並びに審決の理由の要点(1)ないし(3)については、当事者間に争いがない。
2 そこで、原告主張の取消事由の当否について検討する。
(1) 取消事由1について
本件商標を構成する文字「DANDYL」は、特定の読みをもって親しまれた外国語を表したものではなく、格別の語義、観念を生じない造語であると認められるが、英語の一般的な発音法則からすると、上記構成文字からは「ダンディル」との称呼のみを生じ、通常、「ダンダイル」との称呼を生ずることはないものと認められる。
そうすると、本件商標について、「ダンディル」の称呼と共に、「ダンダイル」の称呼をも生ずるとした審決の認定は誤っているものというべきであるが、前記審決の理由の要点から明らかなように、審決は、本件商標より生ずる「ダンディル」の称呼と引用各商標より生ずる「ダンヒル」の称呼との対比をも行って、本件商標と引用各商標との類否判断をしているから、上記認定の誤りが審決の結論に影響を及ぼすものでないことは明らかである。
したがって、上記認定の誤りをもって、審決を取り消すべき違法があるということはできない。
(2) 取消事由2について
本件商標より生ずる「ダンディル」の称呼と引用各商標より生ずる「ダンヒル」の称呼を比較すると、両称呼は、第3音において「ディ」と「ヒ」の音の差異を有するところ(この点については当事者間に争いがない。)、原告は、上記相違音「ディ」と「ヒ」は、それぞれの語の中間に位置し、しかも称呼による識別上主要な要素を占める語頭の「ダン」の部分にアクセントが置かれて発音され、その反動で、「ディ」と「ヒ」は、それぞれ母音が口を狭く平たくして短めに発音される「イ」であることからも、全体を一連に称呼する場合には語頭に吸収され、極めて小さくしか発音されず、その相違は聴取しがたいものであって、両称呼が時と所を異にして一連に称呼された場合には、全体の印象は極めて近似し、相紛らわしいものであること、商標の称呼の類否判断は、調音位置や調音方法の違い等、相違音の分析的考察のみに依拠すべきではなく、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象(音感)から、たがいに相紛れるおそれがあるか否かによって判断されるべきであり、引用第1商標「dunhill」が世界的に著名な商標であり、本件商標の指定商品の需要者はもとより、極めて広範な一般大衆にその称呼「ダンヒル」が浸透している場合に、第3音の子音のみが異なる本件商標の称呼「ダンディル」は、著名商標の称呼である「ダンヒル」に引きつけられて認識される可能性が高いことを理由として、両称呼は類似している旨主張する。
一般的には、語頭音は称呼における識別上重要な要素を占めるものということができるし、本件商標の称呼「ダンディル」と引用各商標の称呼「ダンヒル」においては、「ダン」の部分にアクセントが置かれて発音されるものと考えられ、また、それぞれの語の中間に位置する「ディ」と「ヒ」の音は母音(i)を共通にするものであるが、上記相違音「ディ」と「ヒ」は、それぞれ調音位置(「歯茎音」と「硬口蓋音」)及び調音方法(「破裂音」と「摩擦音」)を異にすること(原告は、この点については明らかに争わない。)、「ディ」の音は濁音であることから、清音である「ヒ」の音に比べて強い響きの音として発音され、聴取されると考えられること、本件商標も引用各商標も4音という短い音構成よりなっていることからすると、両称呼をそれぞれ一連に称呼した場合に上記相違音が語頭に吸収され、極めて小さくしか発音されないとか、その相違が聴取しがたいものであるとは認められず、上記相違音が両商標の称呼全体に与える影響は大きく、両称呼がそれぞれ一連に称呼され、聴覚されるときに聴者に与える全体的印象は異なるものと認められる。
次に、商標の称呼の類否判断は、相違音の分析的考察のみに依拠すべきではなく、時と所を異にして、両商標が称呼され、聴覚されるときに聴者に与える称呼の全体的印象から、たがいに相紛れるおそれがあるか否かによって判断されるべきであることは原告指摘のとおりであり、また、後記(3)のとおり、引用各商標は著名なものであると認められるが、上記説示のとおり、両称呼がそれぞれ一連に称呼され、聴覚されるときに聴者に与える全体的印象は異なるものであるから、引用各商標が著名であるからといって、本件商標の称呼「ダンディル」が、引用各商標の称呼「ダンヒル」に引きつけられて認識される可能性が高いとは認め難い。
なお、審決は、その理由からも明らかなように、両称呼の調音位置及び調音方法の違いのみから、両称呼が非類似であると判断しているわけではない。
上記のとおりであって、本件商標の称呼と引用各商標の称呼は非類似であるとした審決の判断に誤りはなく、原告の上記主張は理由がないものというべきである。
(3) 取消事由3について
本件商標は、「被服、布製身回品、寝具類」を指定商品とするものであり、また、成立に争いのない甲第7号証の1・2、第15号証、第19号証、第20号証、弁論の全趣旨により真正に成立したものと認められる甲第16号証ないし第18号証によれば、引用各商標は、英国の紳士服・紳士用服飾品・喫煙具等を取り扱う原告の商品を標章する商標として、本件商標の出願日当時すでに、広く取引者・需要者の間で著名となっていたものと認められるところ、原告は、引用各商標の著名性に鑑みれば、フリーライドやダイリューションのおそれが大きく、これらを有効に防止して著名な引用各商標の確実な保護を図るには、具体的な混同の範囲を通常より広く認めることが必要であり、本件商標と引用各商標のように、「ダンディル」の称呼と「ダンヒル」の称呼が同じ4音の構成からなり、唯一異なる第3音の「ディ」と「ヒ」は中間音であり、差異音の母音(i)が同一であるような場合には、明らかに需要者は馴染みの深い著名商標に引かれて、本件商標を引用各商標であるかのごとく誤認し、商品の出所について混同を生じるおそれが大きい旨主張する。
しかし、本件商標は引用各商標と外観を異にすること、本件商標は特定の具体的観念を生じない造語であって、観念においても引用各商標と近似性がないこと、前記のとおり、本件商標の称呼「ダンディル」と引用各商標の称呼「ダンヒル」は、それぞれ一連に称呼され、聴覚されるときに聴者に与える全体的印象が異なることからすると、本件商標は引用各商標と明らかに区別できる別異のものと認められるから、引用各商標が著名であるからといって、本件商標を引用各商標であるかのごとく誤認して、本件商標をその指定商品に使用した場合に、取引者・需要者において原告の商品であるとか、あるいは原告と関連のある商品であるとかといった商品の出所について混同を生ずるおそれがあるとは認め難い。
したがって、本件商標をその指定商品について使用した場合、原告の業務に係る商品と出所の混同を生ずるおそれがあったとはいえないとした審決の判断に誤りはなく、原告の上記主張は理由がない。
3 以上のとおりであって、原告主張の取消事由はいずれも理由がなく、審決に取り消すべき違法はない。
よって、原告の本訴請求は理由がないから棄却することとし、訴訟費用の負担及び上告のための附加期間の定めについて行政事件訴訟法7条、民事訴訟法89条、158条2項を各適用して、主文のとおり判決する。
(裁判長裁判官 伊藤博 裁判官 濵崎浩一 裁判官 市川正巳)
別紙
<省略>